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Column

社員のエグゼクティブプレゼンスを高めるたった一つの方法

コーチングリーダーシップ人材開発

2024年12月16日

今回は、組織サーベイについての投稿第2弾です。組織や社員の課題を可視化する上で、サーベイは効果的なツールです。しかし、同じ評価項目であっても、その背景や文脈は人それぞれ異なり、時には深い理解や考察が必要です。 前回はサーベイに隠された社員の本音についてお話しましたが、本記事では、サーベイ結果の中でも特に改善に悩むことが多い「エグゼクティブプレゼンス」に焦点を当て、抽象度の高い評価結果から具体的な改善策につなげるための有効な方法を解説します。 エグゼクティブプレゼンスという「呪い」 コーチングにおいて、受講者から最も多く寄せられる課題の一つが、「エグゼクティブプレゼンスが低い」という悩みです。 人事評価で用いられることの多い360度サーベイで、エグゼクティブプレゼンスが低いと評価されると、多くの場合、「このままでは昇進は難しい」という判断を下されがちです。そのため、昇進を望む人たちは、エグゼクティブプレゼンスを高めるために必死になり、「自分はエグゼクティブプレゼンスがないからダメなんだ」と自信を失ってしまう人も少なくありません。 ではそもそも、『エグゼクティブプレゼンス』とは一体何なのでしょうか。「上に立つ人に求められる資質」「一流の存在感」とも訳されるこの言葉。一言で定義することは難しく、明確に答えられる人は、まずいないでしょう。捉えどころのない概念だからこそ、多くの人がエグゼクティブプレゼンスの呪縛に囚われているといえます。(私も実際、過去に自身のエグゼクティブプレゼンスが低いと評価された経験があり、形のない“ゴースト”に縛られ、苦しみました) 『エグゼクティブプレゼンス』という言葉に対する捉え方は、実に人それぞれ。 例えば、「発言量が少ない」だったり、「反対意見に対して自分の考えを明確に示せていない」だったり、エグゼクティブプレゼンスが低いとされる要因には様々な可能性があり得ます。 360度サーベイでは上司、同僚、部下、それぞれが異なる視点からこの言葉の意味を解釈しているため、まずはその多様な解釈を整理することがコーチングの最初のステップとなります。 涙のプレゼンターがグローバルリーダーに昇格するまで ここで一つ、エグゼクティブプレゼンスにちなんだ具体的な事例をご紹介します。 会社員のアキコさん(仮名)は、プレゼンなどで緊張すると涙が出てしまうという傾向がありました。プレッシャーを感じると呼吸が浅くなり、酸素不足で涙が出てしまう体質だったのです。英語でのプレゼンテーションでは、特にこの傾向が顕著でした。彼女は自分の考えを正確に伝えたいという強い気持ちから、極度の緊張状態に陥り、呼吸が浅くなることで涙が出てしまうのです。 しかし周囲からは、それが感情的な弱さだと認識され、すなわちリーダーになるべき立場としてはエグゼクティブプレゼンスが欠如していると捉えられていました。 彼女は、「ごめんなさい、これはちょっと体の反応なんです」と説明すればよかったのですが、周囲が勝手に「アキコさんはすごくつらいんだな」「プレッシャーに弱いんだ」と解釈し、そのフィードバックを繰り返すことで、アキコさん自身も「私はやっぱりプレッシャーに弱いから泣いちゃうのかもしれない」「やっぱりこういう場面でうまくできないから私はダメなのよね」と、次第にそう思い込んでしまったのです。 コーチングを通して、彼女は自分の意図と周囲の受け取り方の間に大きなギャップがあることに気づきました。何度かのセッションを通じて、体の反応を事前に察知しコントロールすることで、周囲の誤解を解けることに気づいた彼女は、呼吸法などのトレーニングを重ね、緊張を克服しました。その結果、アキコさんは、大規模なグローバルプロジェクトのリーダーとして活躍し、見事成功を収めることができました。 この事例からもわかるように、エグゼクティブプレゼンスは、様々な要素が複雑に絡み合ったものです。そのため、エグゼクティブプレゼンスを高めるためには、個々の状況を深く理解し、一人ひとりに合ったアプローチを選ぶことが求められます。 しかし、アンケート調査などでは、エグゼクティブプレゼンスのどの部分が問題となっているのか、具体的に特定するのが難しいことが多いです。例えば、「決断が遅い」「コミュニケーションが不十分」といった項目と、エグゼクティブプレゼンスの項目、どちらにも指摘があると、それらと関連付けられることがあります。 しかし実際にコーチングを通じてより深いレベルでの対話をしていくと、まったく別のところに、原因が判明することがあります。 特に、エグゼクティブプレゼンスのように、捉え方が人によって異なる抽象的な概念については、しっかり対話しながら、その人ならではの状況や背景を深く理解することが重要です。そうすることで、その人が抱える「見えない壁」を可視化し、具体的な解決策へと繋げていくことができるのです。 アキコさんのケースでは、自分の涙が生理的な反応であることを認められたことで、周囲の評価に振り回されることなく、自分自身を受け入れることができるようになりました。 その後の彼女が素晴らしかったのは、緊張で涙をこらえている自分と同じような人の存在に気づき、重要な会議の前に「まずちょっといいですか、みんなで深呼吸をしましょう」と提案したそうなんです。「今日すごく重要な局面で私も緊張してるので、皆さんも1回立ってストレッチして深呼吸しましょう」と。この行動は、グローバルなミーティングでも高く評価され、結果的に彼女を昇格させたのでした。 エグゼクティブプレゼンスを高めるたった一つの方法 アキコさんは、コーチングの中でこれまで心の奥底に隠していた傷や弱みを素直に打ち明け、自己と向き合いました。その結果、自己肯定感が大きく高まり、その心の余裕が周囲への行動に現れ、エグゼクティブプレゼンスの向上にも繋がりました。 アキコさんは、コーチングの経験を「癒された」と表現します。私たちは日常的に様々な評価に晒されていますし、特に仕事においては常にジャッジの対象。コーチングは、そんな日常から離れ、自分自身と向き合う貴重な時間です。アキコさんのように、コーチング後に「癒された」と感じるクライアントは多いものです。 それは、決して評価されない安全な空間で、これまで隠してきた心の傷や弱み、さらにはエゴや欲まで、ありのままの自分を受け入れてもらえるという、安心と信頼があるからこそです。 あくまでもサーベイは、より深い対話への入り口です。社員のエグゼクティブプレゼンスを高めるためには、信頼関係を築き、一人ひとりの心の奥底に寄り添うことが大切です。そうすることで初めて真の課題を捉え、解決策を見出すことができるのです。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。今回は組織サーベイ編第二弾でした。コーチングの事例が少しでも皆さんのチームビルディングのお役に立つことができれば、嬉しいです。 今後も私のコーチングセッションの体験談やコーチングのテクニックをお伝えすることで、みなさんが組織のリーダーとして活躍するための参考になればと思っています。不定期にはなりますが、次回の投稿もぜひお楽しみに。

JustCo主催イベント『Just Evolve 次の自分へ行け 』に桜庭理奈が登壇

コーチングリーダーシップ人材開発

2024年4月15日

次世代リーダーに求められるコーチングメソッドを紹介 2024年3月5日(火)JustCo新宿ミライナタワー(新宿)とBASE managed by JustCo(虎ノ門)の二拠点にて、コワーキングスペースJustCo主催イベント『Just Evolve 次の自分へ行け〜迷わず進め!新米リーダーを未来へナビゲート〜』に35 CoCreation合同会社 CEO 桜庭理奈が登壇しました。 業種も、役職も、ビジネスの規模も異なる様々な企業や個人が集まり、同じ空間を共有しながらそれぞれが成長を目指しJustCoを利用する方々の リーダーシップってなに? リーダーシップのために、なにをしたらいいの? よいチームや会社ってどんな組織なの? といったお悩みにこたえるため、桜庭から次世代リーダーの在り方やコーチングメソッドを紹介しました。 当日の桜庭の講演内容を抜粋しながら、イベントの内容を振り返ります。 組織文化づくりに必要なこと まず、林檎の木のように、組織には、カルチャー(空気感)、組織(木)、リーダー(土)、人材(根)の相関関係が存在し、これらがうまくシンクロすることが文化づくりで重要になります。 図1.組織、文化、人材、リーダーの相関関係 リーダーが実践する4種類のコミュニケーションアプローチ その上で、リーダーが実践するコミュニケーションのアプローチは以下の4種類があり、対話する相手に応じて使い分けていくことを意識することが重要です。 カウンセリング(過去志向・ASK型) メンタリング/アドバイス(過去志向・TELL型) コーチング(未来志向・ASK型) ティーチング(未来志向・TELL型) 図2.カウンセリング、メンタリング、コーチング、ティーチングの違い チームメンバーの育成を目指す際、目を向けるべきこと チームメンバーの育成を目指した対話を実践する際、チームメンバーの経験年数とリーダーによる権限移譲の相関関係に目を向ける必要があります。 実は過去志向のTELL型(教える)と未来志向のASK型(問いかける)コミュニケーションの間にはリーダーがぶつかる「魔の壁」が存在します。 教える相手の成長フェーズに合わせ、リーダー自身も変わる必要がありますが、これまでの型にはまり、「魔の壁」にぶつかることで未来志向のASK型(問いかけ)へとリーダーが成長できないケースが存在します。 そのような時は、自分が正解だとは思わず、常に「ひょっとして」という疑問を自分に投げかけ、俯瞰して状況を分析しつつ、謙虚な姿勢で答え探しをすることが大切です。 この「ひょっとして」という疑問を自分に対して投げかける習性を身につけることで効果的なコーチングの型を築きあげることができるのです。 図3.成長曲線の魔の壁:経験年数と権限委譲の相関関係 参加者の様子 講演の様子 会場:BASE managed by JustCo(虎ノ門) 講演の様子 会場:JustCo新宿ミライナタワー(新宿) 随所で講師の桜庭から参加者に対する質問やディスカッションが行われ、ワークショップのような双方向のコミュニケーションが見られる講演会となりました。 参加者がビジネス経験年数の少ない層からチームリーダー層まで幅広かったため、質問やコメントが多岐に渡り、参加者間での学びや共有が見られました。 始めから終わりまで参加者の高い熱量が感じられ、次回のセッションを求める声まで上がり、大盛況でイベントを終えました。 イベント概要 Just Evolve 次の自分へ行け〜迷わず進め!新米リーダーを未来へナビゲート〜 日時: 2024年3月5日(火) 場所: JustCo新宿ミライナタワー(新宿), BASE managed by JustCo(虎ノ門) 主催者:JustCo DK Japan株式会社 講師プロフィール 桜庭 理奈(さくらば りな)、35 CoCreation合同会社 CEO 元GEヘルスケア・ジャパン株式会社アジアパシフィック地域統括のHRビジネスパートナーとしてGEヘルスケア・ジャパンへ入社後、人事本部長、執行役員を歴任。 2020年に35CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)合同会社を設立し、多様な業態や成長ステージにある企業で人事部長不在の企業間で、シェアドCHROサービスを開発提供し、経営・組織・リーダーシップ開発コーチング、アドバイザリー活動を伴走型で支援。経営者や人事担当者向けの執筆コラムも多数出版。 国際コーチング連盟認定PCCコーチ。一般社団法人日本オントロジカル・コーチング協会 代表理事。1on1コーチ、チーム・コーチ、ヘルス・ウェルネスコーチとして活躍中。愛知県出身 35 CoCreation合同会社について 35 Co Creation(サンゴ コ・クリエーション)合同会社は、「ヒトの心・身・信の3つの領域の真を統合することを通して、リーダーシップの進化を大胆に促進し、地球を次世代へ手渡していくリーダー人材を開発する」をミッションに掲げ、日本初上陸オントロジカル・コーチングのアプローチに基づいた組織開発、次世代のリーダーシップ開発、人材育成、組織風土改善を支援するコーチング事業を運営しています。 オントロジカル・コーチングは、自分自身の価値観・信条・倫理観、思考傾向など自身の在り方を理解することで行動習慣を本質的に変える、ヒト起点の改革を支援します。この改革を通じて、組織における価値創造、人材育成、組織改革を実現します。

【ユーザーレビュー】個人事業主としての変革:コーチングで見つけた自分と繋がり

コーチング

2023年2月13日

個人事業主として人事・組織開発・新規事業の支援などを行う傍ら、コーチングも手がける木村さん。会社を辞めフリーランスになるタイミングで35 CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)のコーチングを受けられました。 自らもコーチである木村さんが桜庭を選んだきっかけは「ヘルスコーチング※」というキーワードでした。 木村さんはなぜそのワードに惹きつけられたのか? 実際に受けてみてどのような気づきや変化があったのか? 自身もコーチの顔を持ちながら、コーチングを受けたことで体得したこととは? 独立を前に、人との関わり方について課題意識を抱いていた木村さんが、一生続くような太い繋がりが増えていると感じるまでの変化について語ってくださいました。 ※ヘルスコーチング:健康的な行動変容を促し、メンタルヘルスケアを支援するコーチングメソッド。 35 CoCreation CEO桜庭の木村さんへのインタビューをグラレコにしました! 言葉の裏にも、敏感さゆえの不安が。独立は向き合うきっかけ 35 CoCreation合同会社CEO 桜庭理奈(以下、桜庭):木村さんがコーチングを受けようと思われた時に抱えていた課題や葛藤、その時の感情はどのようなものだったのでしょうか? 木村(以下、敬称略):会社員時代から、他者との関係において人の言外に敏感なせいか、メンタルに波がありました。ただ、当時は社内の人に頼ることができたので、あまり問題視はしていませんでした。 しかし、個人事業主として独立を考えるようになって、「これからは何事にも自分が向き合わなければならない」と思ったら、一度立ち止まってみたくなりました。「今までのようなメンタルの波を克服したい」、「心の持ちようを自分でコントロールしたい」と考えたのです。 また、自身がコーチングを学び始めたタイミングでもあったので、勉強にもなるかなとも思っていました。 桜庭:もしかすると、木村さんのお悩みへのソリューションはコーチング以外にも選択肢があったかもしれないのですが、それでもコーチングを選ばれたのには、ご自身の勉強以外にも何か理由はあったのでしょうか? 木村:タイミングとご縁の部分が大きいのですが、たまたま桜庭さんのFacebookの投稿を拝見して、そこで目に飛び込んできた「ヘルスコーチング」というワードにとても興味を持ちました。聞いたことのないワードでしたが、自分の課題はメンタルに関することだと考えていたので、これはいいのではないかと思ったのです。 桜庭:確かに、ヘルスウェルネスコーチングを希望されていましたね。 木村:そうなんです。あと、実際にコーチングをお願いする前に一度桜庭さんとお会いした時に、自分の思っていることを100%話せる方だと感じたことも決め手の一つでした。私は人とコミュニケーションする際に、「相手が心の中で考えていること」に対して過敏になるあまり、自分の考えをうまく伝えられないことが課題たったのですが、桜庭さんとの会話ではそんな靄のようなものを感じることなく、クリアな感覚で話ができたのが大きかったですね。 桜庭:なるほど。では、実際コーチングを始めるにあたり、どんなことを期待していましたか? 木村:それまでは人と向き合う際に、相手の心の動きを敏感に感じ取ってしまうことで、他者と関わり合うことにいつも不安を感じていました。ですが、個人事業主としてやっていくとなると、自ら動き判断することの連続です。 会社員時代には背を向けてきたことにいよいよ向き合わなければならないと思っていたので、とにかく不安を解消したかったです。相手の言葉を受け入れられるようになって、メンタルの波が小さくなって安定し、最終的にはメンタルを強くしたいと思っていました。同時に、自分の気持ちをさらけ出すことへのドキドキと、不安を解消できた時にどんな新しい自分が発見できるのかというワクワクもありましたね。 対話で飛んでくるボール、選別は“自分の権利”に目からウロコ 桜庭:実際にコーチングを受けてみて、自分や周囲に対しての気づきはありましたか? 木村:人とのコミュニケーションにおいて、相手から自分に向かって飛んでくる言葉・ボールを全て受け止めなくてもいいということに気づきました。私たちは日々の生活の中で周りの人の言葉や考え方、メディアから流れてくる情報を浴びながら生きていますが、そこから何を、どれくらい、どのように受け止めるのか自分で選んでいいというのは、文字通り目からウロコでした。 桜庭:コーチングのどの局面で、その気づきがあったのでしょう? 木村:コーチングが始まって3〜4か月目くらいでしょうか。自分の課題を解決する上で、「なぜ初めての人と話すことが不安なのか?」、「自分は何を恐れているのか? 」ということに目を向けなければならないと思っていましたが、その原因は、人と話をする際に相手のレスポンスを気にしすぎてしまうからだと気づきました。それからは、どんなレスポンスであっても、「何を受け入れるかは自分で選べる」と思えるようになったのです。 桜庭:そこに選択肢があるのだから、恐れる必要はないと気づいたわけですね。 木村:そうですね。選択肢があるということは、つまり選択しないこともできる。最悪スルーしても構わないのだと気づきました。たしかこの頃、イメージトレーニングを行ったと記憶しています。目を瞑って、自分に向かって飛んでくる言葉のボールをどうキャッチするのか? をイメージするというものでしたが、第三者的な自分を置いて俯瞰して見た時に、全てが自分に向かっているわけではない。取れるボールもあれば、避けてもいいボールもある。違う方向へ飛んでいったら、「行っちゃった」と見送ればいいと“体で感じた”のです。これは初めての感覚で、とても新鮮でした。 桜庭:その気づきから、行動はどう変わりましたか? 木村:人と話す時に、イメージトレーニングのように一歩引いて第三者的な目線で話すようになりました。自分を客観視できるので主観を入れずに人の話が聞けますし、自分と違う意見でも「そういう風に考えているのですね、なるほど」と、受け取る側としての度量が大きくなりました。 そうすると、相手の考えを否定することなく、適切な距離を保って前向きな議論ができるようになりました。 桜庭:行動が変わったことで感情的にも変化はありましたか? 木村:受け取る構えができたことで、一喜一憂しなくなりましたね。喜びすぎず、凹みすぎず、どちらもコントロールできている感覚です。感情の波が小さくなったので、気持ち的にはリラックスして穏やかに過ごせることが多くなってきました。 相手側にも選択権。そう思うと、人目を気にせず自分らしくなれた 桜庭:コーチング前に期待していたことが実現できているのですね。木村さんが、コーチングの中で記憶に残っている問いや対話はありますか? 木村:印象的だったことは、具体的な問いというよりも、先ほどもお話したイメージトレーニングでしょうか。目を閉じて、自分の呼吸に集中して、体のどの部分でどう感じるかを考えるという。 桜庭:「今出てきた感情は、体のどこで感じますか?」「その状況を思い浮かべた時に体を動かすとしたら、どこをどのように動かしますか?」といったイメージトレーニングでしたね。 木村:コーチングの要所要所でやりましたよね。桜庭さんに適切な整え方をしてもらえたので、自分自身をスーッと感じられる場に身をおけました。この時の感覚は今でも体の中に残っています。例えば、受け取らなくてもいい言葉が飛んできた時に、本能的に避けられるというか、反射神経がよくなった気がします。 桜庭:変化を体に取り込んだ感じですね。その上で、コミュニケーションに変化はありましたか? 木村:自分に選択権があるように、相手側にも選択権があると思うことで、以前よりも自分の言いたいことが気軽に吐き出せるようになりました。伝えたいことを伝えた上で、それを受け取ってくれる人とは信頼関係が深まってきているように思います。 桜庭:伝えることを伝えたときに、それを受け取るか受け取らないかは相手次第だとわかったから、自分で言い切れるようになったということなのでしょうね。木村さんの言葉を受け取ってくれる人との関係性については、何か変化を感じていらっしゃいますか? 木村:密に仕事ができるようになりました。繋がりの線が密になっているし、強固にもなっていると思います。 桜庭:逆に細くなっていく人もいるのでしょうか? 木村:接触頻度が下がる人はいると思います。しかし、基本的に木が根を張って様々なところと繋がっているのと同じように、人間も面識のあるなしに関わらず、社会のどこかで繋がっていて相互作用しているものだと思っています。然るべき時に然るべき縁で繋がりが太くなったり、距離が近くなったりするのかなと。 桜庭:それはコーチングでの変化を経て感じられたことですか? 木村:元々持っていた考えではありましたが、どこかで人が離れていくことや、人の目を強く気にするところはありました。しかし、今は人からどうみられるかを過度に意識しなくなって、楽になったし、自分らしくいられるようになったと思います。心をオープンにしていても、受け入れるかどうかは自分で選べると思うと、殻をかぶる必要はないですから。 伝えたいことを伝えた上で、繋がりが密に強固に 桜庭:木村さんの変化について、周囲から何かフィードバックはありましたか? 木村:直接的なフィードバックはありませんが、周りの環境が変わってきていると感じています。例えば、話したいと思った人と話す頻度が増えたり、相談だけでなくちょっとしたアイデアなどもテキストですぐ送ってくれたりするような距離感の人ができました。 桜庭:新しい関係性が築けているのですね。 木村:そうですね。ビジネスパートナーや友人というより、大袈裟かもしれませんが、同じ時間を生きている共同体というか、一生続くような強固な繋がりができています。出会いのきっかけは仕事でも、利害関係なく付き合える人が増えてきているように思います。今はとても心豊かで、心地よい状態でいられます。 桜庭:幸せなことですね。最後に、もし木村さんが私のコーチングを誰かに勧めるとしたら、どのような人に勧めますか? 木村:なかなか本音を言えない、自分のことを話せない人ですかね。もしくは一般的なコーチングで成果が出ていないとか、何か違うと思っている人などにお勧めだと思います。 桜庭:痒いところはあるけれど、それがどこなのかわからないというような感じでしょうか? 木村:そうそう、そんな人たちには、さまざまな角度からコーチングを見ることができて、資格も実績も豊富な桜庭さんのプログラムが最適だと思います。 桜庭:ありがとうございます!今日は私自身元気になりました! 編集後記(桜庭) コーチングは言葉を介して対話をするプロセスではありますが、その中で心(感情)・身(体感・所作)・信(信念)の一貫性が高まるにつれ、クライアントの体感や感情に本質的な変化が訪れていく様子を、今回のインタビューでリアルにお伺いしました。ヘルス&ウェルネスコーチングは、特にクライアントのウェルビーングに焦点を当てたコーチングであるからこそ、サンゴのオントロジカル・コーチングのアプローチがばっちり合致しました。クライアントが自分自身の変容だけに留まらず、自分発信のインサイドアウトで「勇気の輪」を周りに波及させていく様子に、感動しました。

【ユーザーレビュー】35 CoCreationのコーチングでモヤモヤから抜け出す

コーチング

2022年12月20日

人材系ベンチャー企業で営業職を担当する中山さん(仮名)。周囲から求められることや自分のやりたいことはわかっているのに、思うように動けずモヤモヤする日々を過ごしていた時に、35 CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)のコーチングを受けられました。過去にもコーチングを受けた経験があったことから、状況を打開するには「これしかない!」と思ってスタートしたそうです。 コーチングの持つ力を身をもって知っていた中山さんが、桜庭とのセッションで新たに見つけたこととは……? 得られた変化や、今後の活かし方とは……? 丁寧に語ってくださいました。 35 CoCreation CEO桜庭による中山さんへのインタビューをグラレコにしました! モヤモヤの言語化、課題とゴールの設定、自分にできるのか?! 35 CoCreation合同会社CEO 桜庭理奈(以下、桜庭):コーチングを受ける前の状況と当時の葛藤について、聞かせていただけますか? 中山さん(以下、敬称略):一言でいうと良い状態ではなかったです。社内の立場も変わった時で、「やりたいことがあるのに、なぜ動けないのかわからない」「マネジメントとの向き合い方がわからない」など様々なモヤモヤを抱えているのに、その打開策もわからなかったのです。 桜庭:そのような時に、なぜコーチングだったのでしょう? 中山:自らの思考の癖が思考を制約していることはわかっていたのですが、その癖が何なのかがわからないことが問題だということには気づいていました。過去にもコーチングを受けたことがあったので、「これはプロに頼るしかない!」と、直感的にコーチングが思い浮かびました。 桜庭:コーチングの成果も体験された上で、今回私とのセッションでは期待や不安はありましたか? 中山:突破口が開けることを期待していましたね。私は基本的に内向的なので、内省はできる方だと思っていたのですが、それでもモヤモヤの原因が分からなかったので……。同時に、複合的な悩みをうまく整理して、言語化して伝えられるのかという不安もありました。 コーチングセッションでは、毎回「今日は何を話したいですか?」「どういう状態で終わりたいですか?」という問いから始まります。課題とゴールの設定を自ら主体的に行うことを突き付けられるので、「やばい、ちゃんとしなきゃ」と毎回自分を奮い立たせていました。 ただ、桜庭さんの包容力のおかげで、桜庭さんの前では子どもになるというか、不思議と甘えたくなってしまうので、素直に対話ができるだろうという安心感はありました。 見えてきたのは経験不足と心の傷。「そりゃそうだ」と腹が据わった 桜庭:光栄ですね。実際コーチングを受けてみて、どんな気づきがありましたか? 中山:今回、「やりたいことがあるのになぜできないのか?」「マネジメントの位置付け、向き合い方は?」と二つのテーマを持って望んでいたのですが、それぞれ俯瞰して見ることができるようになって非常にスッキリしました。 まず一つ目については、これまで自分は周囲の期待にはハイパフォーマンスで応えてきましたが、自分の大切にしたいことや、実現したいことに向かって行動するという経験はあまりしてこなかったことに気づきました。経験がないからわからないし、暗中模索して動けなくなっていましたが、至ってシンプルなことだったのだなと。経験不足でシナプスが繋がっていないというか、「思考の筋力が足りていないな」、「脳の筋トレが必要だな」と感じました。 二つ目については、マネジメントの立場になってから立て続けにメンバーが辞めてしまったことが心の傷となり、メンバーとうまく向き合えなくなっていたことに気づきました。 これまであまりうまく人間関係を築くことができず、人の変化にも気づきにくく、成長を喜ぶ余裕もないのに、周囲に薦められるままにマネジメントの立場になったので、あまり実感がなかったのだと思います。だから、メンバーの退職も淡々と受け止められていたと思っていました。でも、コーチングの対話の中で、話しているうちに涙が止まらなくなってしまって。自分が思っていた以上に辛かったのだと、その時初めて自覚しました。 どちらも俯瞰してみてみればとてもシンプルなことで、「そりゃそうだよね」と腹が据わった感じがしました。やっとスタートラインに立てたという思いでした。 気持ちと体感。言語化し俯瞰すると、心配しすぎる自分が滑稽に見えた 桜庭:自分の中の“ミニ中山さん”と同じ方向を向いて手をつなげた感じですかね。俯瞰することでとおしゃっていますが、そこに向かう過程で、もしくは全体を通じてコーチからの問いや会話で印象に残っていることはありますか? 中山:「その時の体の感覚は?」「その時の気持ちは?」と、私の気持ちとその時の体感をよく聞かれたのが印象的ですね。 それまで思考と体の反応を結びつけて考えたことがなかったので、思い出そうにも思い出せなくて、答えるのが難しかったです。 でも、よく考えてみると、「メンバーと話をしている時、過去の人間関係での辛い経験から、苦手意識で顔がこわばってきてしまって、すると相手からも居心地の悪そうな空気が漂ってくることがあったな」と、少しずつ言語化できるようになりました。 そうして言語化したことを頭の中で再現し、自分と相手、それをバルコニーから俯瞰してみている第三者のそれぞれの視点からみるワークをしました。これが面白かったというか、第三者として見た自分が滑稽に思えたのです。考え過ぎて、いらない反応をしているなと。 桜庭:文字通り俯瞰してみることができたのですね。コーチング後、チーム内でのコミュニケーションに変化はありましたか? 中山:コーチング前は、もともと人と関わることに苦手意識があって、正直面倒だと思って深く関わることを避けていました。感情が表に出ないタイプということもあり、若い人や新人には特に怖がられていたと思います。 コーチング後は、確かに面倒かもしれないけれど、「あの時大変だったけど、仲間と頑張ったね。青春だったね」と言い合えるような熱い関係性に憧れる自分にも気づいて、まだまだ恐る恐るではありますが、歩み寄ることができるようになりました。最近では他愛もない会話もできるようになって、自分でも頑張っているなと思います。 思考の枠は自分では気づけない。思考ループにハマったらコーチング 桜庭:頑張っている中山さんに対して、周囲からはどのような反応がありますか? 中山:私がコーチングを受けていた頃、社内でも「内面的なことに向き合う」ことを実践している人が多くいました。そんな中で上司と話す機会があって、メンバーの退職に関して上司も悲しかったことを知り、共感度がかなり上がりました。すると、他のこともお互いにフィードバックし合えるようになりました。 桜庭:人間的な部分をさらけ出せるようになったということでしょうね。 中山:そうですね。それまでも関係性はよかったのですが、より人間的な共有をもっと早くにできていればよかったと思いました。 桜庭:ご自身にとっての一番の変化はどのようなことでしょう? また、それを今後どう活かせそうですか? 中山:モヤモヤの要因が分かってスッキリ前向きになれたことですね。 身についていると言えるほどまだ浸透はしていませんが、自分の「体」と「気持ち」を紐付けて考えるようになりました。それによって物事を俯瞰して見ることができるようになったので、目の前のことにモヤモヤするのではなく、「なぜそうなっているのか」に早く気づけるようになったと思います。悩み解決へのアプローチの引き出しも増えたような気がします。 桜庭:中山さんの体験を踏まえて、どんな人にコーチングを勧め たいと思いますか? 中山:理由は分からないけど動けなくてモヤモヤしている人や、思考がループしている人におすすめです。コーチングはそこから抜け出せる早道だと思います。自分の思考の枠組みや無意識の制約には自分では気づけないですから。 私の場合はコンフォートゾーンに長くいて、そこから抜け出したい、自分を変えたいと思っていた過渡期に、意思はあるのにうまくいかない状況でコーチングを受けたのが、タイミング的に非常によかったと思います。同じような状況の人にはぜひ受けてもらいたいですね。 桜庭:とても力強いお話をありがとうござました! 編集後記(桜庭) ご自分で内省ができる方でも、ある一定の思考パターンを、自分ひとりで打破することの難しさを改めて感じました。伊藤さんのお話を伺って、コーチという「パートナー」に伴走してもらうことで、まずは自分の思考パターンや自分のあり方を観察するということですね。すぐに行動を起こすのではなく、見つめなおしてみることで、自然とこれまで存在しないと思い込んでいた選択肢が浮かび上がってくるプロセスを、細やかに言語化していただいたと感じます。慣れ親しんだ場所から出るというのは、聞こえはいいですが、恐れや恥、不安など、様々な感情と向き合うプロセスから、自分ひとりだけでは、二の足を踏んでしまいがちです。そのような時こそ、信頼できるコーチの存在はとても意義のあるものになりそうです。