「意識の壁」を突破せよ!DX推進に“人”からアプローチするチェンジマネジメントとは
2025年9月25日
カナデビア株式会社
| 業種 | 国内環境プラントメーカー |
|---|---|
| website | https://www.kanadevia.com/ |
デジタルツールを導入しても、なかなか現場に定着しない──多くの企業が直面するこの課題。
ゴミ焼却発電やバイオガスプラントなど、環境事業を主軸とするカナデビア社も、新たなデジタルツールの導入を進める一方で、社内の「意識改革」が大きな課題となっていました。当社では、DX推進を成功させるための「チェンジマネジメント」をテーマに、プロジェクトチームに伴走。社員の意識と行動の変容をサポートしています。
今回は、プロジェクトチームのメンバーである環境事業本部設計統括部DX推進室 室長の土守敏文様と、人事部人材開発グループの三谷由貴様に、これまでの取り組みと成果についてお話を伺いました。
DX推進室立ち上げも、直面した「意識」の壁
ー貴社が「チェンジマネジメント」に取り組むことになった背景からお伺いできますでしょうか?
土守さん: 2018年に経済産業省がまとめた「DXレポート」から端を発し、当社でも2019年からトップダウンでDXの推進が要請され、エンジニアリング部門でも業務DXを進めてきました。ただ、当時は本業と兼任の体制だったので、なかなか思うように進まなかったんです。このままではいけないという危機感から、2024年4月に専門部署としてDX推進室を立ち上げました。
しかし、いざ新しいツールを導入してみると、現場に定着しないという大きな課題に直面しました。
ー なぜ定着しなかったのでしょうか?
土守さん:私は入社して30年以上になりますが、これまで他社と共同でJV(ジョイントベンチャー)を組んで取り組むような民間向けの大規模な海外プロジェクトに多く携わってきました。エンジニアリングにおいて最先端のデジタルツールを使いこなすことが当たり前の環境でしたし、その経験とマインドが買われ、DX推進室の立ち上げメンバーに選ばれたのだと思います。
しかし、今回DXの対象となるのは、当社の主力である国内の自治体向けの”ゴミ焼却発電プラント”事業です。この事業は長年の歴史の中で培われた良くも悪くも「職人気質とその風土」が深く根付いており、エンジニアリングの現場は異なるものでした。
国内の自治体向けということもあり、業務は依然として紙ベースが中心。それが情報伝達においても属人化している部分があり、プロジェクトによってはヒューマンエラーの増加といった課題につながっていました。さらに長年自治体向けに培われてきたエンジニアリング業務を変革することは難しいと考え、自分のやり方にこだわるあまり、DXを「自分には関係ない」と感じてしまう社員も少なくありませんでした。
同じ社内でありながら、これほど大きな意識のギャップがあることに驚き、大きなチャレンジであると思ったのと同時にこの壁を乗り越えることが、当社がゴミ焼却発電プラントのプロバイダーとしてトップランナーであり続けるためにも、何よりも重要な課題だと痛感しました。
ー そうした状況の中で「チェンジマネジメント」に本格的に取り組むことになったのですね。
土守さん:はい。実は、先に同様の課題に取り組んでいたスイスの子会社から、「新しいシステムを導入する際には、チェンジマネジメント(意識改革)とセットでなければ上手くいかない」と助言を受けていました。
そうしたアドバイスも受け、DX推進室のメンバーに加えて従業員一人ひとりの知識やスキル、能力、仕事に対する意識を高める、人材開発を担う人事部の三谷にも加わってもらい、社内的なサポート体制を組んだうえでプロジェクトチームを立ち上げました。
当初は子会社の専門家にもサポートを受けながら活動をしていたんですが、海外とは時差の問題もあり、遠隔での連携が難しくなってきたんです。そんな時、彼らからのご紹介で出会ったのが、Coaching Leaders Japanでした。私たちの課題に真摯に向き合い、伴走してくれるパートナーを見つけられたのは、大きな一歩でしたね。
社員の意識改革に「マーケティング」という新発想
ー Coaching Leaders Japanの伴走支援が始まってから、プロジェクトチームはどのような取り組みをされてきましたか?
土守さん: 昨年12月にサポートが始まって以来、桜庭さんとは月に3回、定期的にミーティングを重ねています。マインドマップを使って施策を整理し、実行と振り返りを繰り返す中で、手探りながらも少しずつ成果を実感しています。
特に大きな取り組みとして、環境事業本部の関係部門(約700名)を対象にした「タウンホールミーティング」を開催しました。当初は一方的なメッセージ伝達の場を考えていましたが、桜庭さんのアドバイスで、より自分事化しやすい「パネルディスカッション形式」に変更しました。
三谷さん:上層部だけでなく、普段はあまり表に出ないような社員にも登壇してもらい、社員目線で思いや疑問をお話しいただくことで、参加者が親近感を持てるように工夫しました。ユニークな自己紹介も取り入れてもらい、「実は…」という意外な一面を披露してもらうことで、一気に会場の雰囲気が和みました。この形式が功を奏し、活発な質疑応答が生まれ、DX推進の意義が社員全体に広く知られるきっかけとなりました。
土守さん:今年3月からは、新しいツールに実際に触れてもらう「デモ・ハンズオンセミナー」を定期的に開催しています。回を重ねるごとに前向きなコメントが増えてきました。
ただ、最初は自主的な参加者が多く集まりましたが、その後は伸び悩む時期も。そこでプロジェクトチームで課題を徹底的に分析。タウンホールミーティングの参加者に個別のメールで参加を促すなど、一人ひとりに合わせたパーソナルなアプローチへと切り替えました。さらに、部署の垣根を越えて参加者を募ることで、社内全体の注目度を高める工夫も凝らしています。
ー Coaching Leaders Japanの支援で特に効果を感じたのはどのような点ですか?
三谷さん: 私たち人事部は、とにかく全社員に同じメッセージを届けようと考えがちでした。しかし、桜庭さんから「新しい取り組みを浸透させるには、『誰に、どのようなアプローチをするか』を戦略的に考える必要がある」というアドバイスを受け、「マーケティング」の発想が足りていなかったんだなと気づいたのは、大きかったですね。
例えば、新しいことに意欲的な「アーリーアダプター」のようなキーマンを特定し、その人たちが興味を持つような施策を考えたり、逆に変化に抵抗がある層には無理にアプローチせず、先行する人たちの成功を追ってもらうことを想定したり。この活動を通じて、社員の行動や気持ちを深く理解した上で、施策を練り上げる重要性を学んでいます。
土守さん: やはり、外部のプロの視点が入ることで、議論が堂々巡りにならず、次の一歩を具体的に考えられるようになったことは大きな効果です。桜庭さんは、私たちの課題を客観的に整理し、言語化するのが非常にうまい。課題に直面したとき、「自分たちでは解決できない」と諦めてしまうのではなく、「もっと細かく分解すれば、何かできることがあるはずだ」と考えられるようになりました。
自分たちだけでは気づけなかった視点や考え方を提供してくれるのは、本当にありがたいですね。
着実に広がる変革の輪
ー プロジェクトはまだ続きますが、今後の期待をお聞かせください。
土守さん:2025年度末までに、DX推進の「アーリーアダプター」を100人集めることが当面の目標です。設計統括部全体で約500名、関連部門を含めると700名規模の組織において、100名という数字は、DXが自然と広がるための臨界点だと考えています。
ー 目標達成に向けた手応えはいかがですか?
土守さん:現状では、まだ目標の30〜40%ほどの進捗でしょうか。道のりは半ばですが、デモ・ハンズオンセミナーの参加者からは「やってよかった」というポジティブな声が多く聞かれるようになり、少しずつ意識が変わってきているのを感じます。
三谷さん:私は個人的には、もうちょっと進んでいるんじゃないかなと思っています。もちろんまだ途中段階ですが、先日のセミナーでも、回を重ねるごとに皆さんの理解が深まっていると感じました。質疑応答も活発で、そもそも全体の雰囲気がとても良かったんです。徐々にではありますが、社員の意識が「温まってきている」という手応えを感じています。
土守さん:今回のセミナーでは、いつもと演出を変えて、まず「ハンズオン」という形で体験から始めてもらいました。実際にツールに触れてもらった後に復習の意味でデモを見せる構成にしたことで、満足度も理解度も高まったようです。
こうやって一つひとつの施策を丁寧に振り返り、より効果的なアクションを考えながら、これからも着実に変革の輪を広げていきたいと思います。
会社概要
■カナデビア株式会社
造船業を中心に産業育成を通じて日本の近代化に尽力したE.H.ハンターが創業した当社は、時代の移り変わりとともに「資源循環」「脱炭素化」「安全で豊かな街づくり」の分野へと事業を拡大し、140年以上の歴史を持つグローバル企業となりました。2024年10月1日、“技術の力で、人類と自然の調和に挑む企業グループ”として新たな歴史を築いていくため、「カナデビア株式会社」に商号変更。今後も、ステークホルダーの皆様と共に、技術と誠意で社会に役立つ価値を創造し、豊かな未来に貢献していきます。
HP:https://www.kanadevia.com/
